可部線の四季
夏 深緑が車窓を叩く。川面ではしゃぐ子供らの声。避暑地の夏。
秋 落葉が列車の風に舞う。川面の反射がまぶしく紅葉を照らす。
冬 小雪が吹雪に変わった。辺りは警笛も吸い込まれる程の静寂。
春 春らんまん、百花繚乱。沿線は飽きることのない一幅の絵巻。
可部線は、四季折々の表情を見せながら太田川沿いを走る。非電化区間の可部から三段峡までは、ほとんどが上り勾配と小さなカーブの連続だが、ディーゼルカーは苦もなく走り抜ける。
終点の三段峡駅で列車を降りると、そこは滝と紅葉で有名な国指定特別名勝『三段峡』。シーズンには多くの観光客が訪れ、観光列車も運転される。しかし、利用者の減少による赤字を理由に、JRは2003年11月末限りでの可部線非電化区間の廃止を決定した。