よみがえる総天然色の列車たち第2章(8)
国鉄非電化路線で旅客・貨物双方の輸送を支えたディーゼル機関車。DF50形をはじめ、DD13形、DD51形、DD54形、DE10形が、紀勢本線・関西本線で撮影された映像を中心に鮮やかによみがえる。また、特急型気動車キハ81系を使用して名古屋―天王寺間を結ぶ特急「くろしお」下り5号・上り2号のほか、阪和線を走る南紀直通のディーゼル特急・急行の映像も収録。(昭和34年〜昭和60年撮影)
DF50形
昭和32年に登場した日本初の量産型ディーゼル機関車。当初は茶色に白帯の塗装だったが、のちにディーゼル機関車標準カラーのさきがけとなる朱色主体に変更される。ステンレス帯のお召し機も活躍。旅客列車に連結されたオハ35系、スハ43系、10系、12系などの客車や荷物車マニ60形・スユニ61形など、貨物列車に連結されたワム80000形、トラ55000形・レ12000形なども紹介。
DD13形
入替え・短距離運転用機関車。凸形車体や液体式変速機など、のちのディーゼル機関車の基本形を確立。
DD51形
本線用としては最多両数が製造された日本を代表するディーゼル機関車。蒸気発生装置(SG)を備えた客貨両用、SG省略の貨物専用、重連総括用などのタイプに分かれる。四日市の石油化学コンビナートを控える関西本線では、石油を積むタキ9900形など私有貨車を連ねた貨物列車も牽引。参宮線に直通して伊勢神宮への参拝者を運ぶ数々の団体臨時列車の先頭にも立った。
DD54形・DE10形
西ドイツ設計による大出力エンジンを搭載した、幹線・亜幹線用のDD54形は故障続きで短命に終わる一方、ローカル線・入換え用に登場したDE10形は、DD51形を上回るディーゼル機関車最多の708両が製造されて全国で活躍。
くろしお を追って 1D くろしお5号
紀勢本線経由で名古屋―天王寺間を走る下り特急「くろしお5号」を追跡。初の特急型気動車でボンネットタイプのキハ81系運用最後の列車となった。
阪和線の気動車たち
特急「くろしお」や急行「きのくに」など、阪和線を走る優等列車は、非電化の紀勢本線へ直通するため、すべて気動車を使用。「ゲタ電」とも呼ばれる旧型国電を尻目に線内をノンストップで疾走した。
くろしお を追って 2D くろしお2号
キハ81系による天王寺発名古屋行き上り特急「くろしお2号」。途中でタブレット交換や給水をしながら片道493.1kmのロングラン。
引退近づくキハ81系
ディーゼル特急のパイオニア・キハ81系と、近鉄特急の代名詞ともなった10100系ビスタカー。古き良き鉄道風景の中、紀勢本線松阪駅付近でしばしば競演を繰りひろげた両雄は共に、間もなく引退の日を迎えようとしていた。
ナレーター : 子守康範
撮影・監修 : 奥井宗夫
監修 : 宮澤孝一 山邊誠
構成・演出 : 宮地正幸
【奥井宗夫氏 略歴】
三重県松阪市在住。昭和11(1936)年生まれ。23歳で8ミリカメラを手にして以来、鉄道車両を追って日本各地を行脚。青果業を営むかたわら、四半世紀以上にわたって撮り集めたカラーフィルムは約280本にもおよぶ。松阪レールクラブ会員。
制作:株式会社 動輪堂