よみがえる総天然色の列車たち第2章(11)
静岡・山梨・愛知・三重・滋賀・富山の9社各線生え抜きや、関東大手私鉄などから譲渡された懐かしき車両たちが、失われた鉄道風景とともに鮮やかによみがえる。(昭和34年~昭和58年撮影)
静岡鉄道
駿遠線は当時日本最長の軽便鉄道で全長64.6km。人力による入換や、木造の大井川橋梁など、前時代的とも言える光景が展開する。東海道新幹線を跨ぎ越す静岡清水線では、後に福井鉄道に譲渡された300系が1000系とともに活躍。
遠州鉄道
地上時代の新浜松駅を出発した列車は東へと向かい、遠州馬込駅でスイッチバック。遠鉄浜松駅付近から進路を北へと変える。
岳南鉄道
元小田急のED28形や元松本電気鉄道のED40形など、各地から集結した電気機関車が貨物輸送を担う。一方、旅客輸送には元小田急1600形をはじめ様々な経歴を持つ、モハ1100形やモハ1600形などの旧型車が活躍。
富士急行
日本初のWNカルダン駆動車3100形のほか、国鉄から165系急行「かわぐち」などが快速として乗入れて観光客輸送に従事。旧型国電の7000形や、元小田急1900形の5200形などが急勾配に臨む。
豊橋鉄道
親会社名鉄の前身・愛知電気鉄道はもとより、西武鉄道・小田原急行鉄道・帝都電鉄・豊川鉄道・長野電鉄・神中鉄道・田口鉄道など、多彩な履歴の電車や電気機関車が居並ぶ。
三重交通松阪線
凸型電機や電動車がダブルルーフの付随車を牽引したナローゲージの路線。昭和39年に廃止の日を迎え、犬釘を抜く神事が行われる。
三岐鉄道
旺盛な貨物輸送の主役は、昭和29年の電化以来活躍を続けるED45形。アメリカ生まれのED22形はスイッチャーとして支援する。旅客列車は近鉄富田駅のほか、国鉄と接続する富田駅からも発着。生え抜きのモハ120形・クハ210形とともに、西武鉄道出身の501系も従事。
近江鉄道
ED14形・ED31形・ロコ1100形・ED4000形など現在も保存される電気機関車群が、本線の貨物牽引に入換にと現役で活躍。少数派のディーゼルDD45形は専用線を担当する。親会社の西武カラーを纏う元京浜急行電鉄デハ400形や、「近江形」モハ1形・クハ1213形、主力の500形、私鉄では貴重な郵便荷物車モユニ10形など電車も多彩。
富山地方鉄道
旧型車に混じってモハ14760形が活躍を始め、本線・立山線には名古屋鉄道キハ8000系が特急「北アルプス」として乗入れる。富山新港の建設で分断された射水線は乗客が激減。廃止の影が忍び寄る。
ナレーター : 子守康範
撮影・監修 : 奥井宗夫
監修 : 宮澤孝一 山邊誠
構成・演出 : 宮地正幸
【奥井宗夫氏 略歴】
三重県松阪市在住。昭和11(1936)年生まれ。23歳で8ミリカメラを手にして以来、鉄道車両を追って日本各地を行脚。青果業を営むかたわら、四半世紀以上にわたって撮り集めたカラーフィルムは約280本にもおよぶ。松阪レールクラブ会員。
制作:株式会社 動輪堂