モノクロームの列車たち3
昭和40年代中盤から後半に撮影された、消え行く蒸気機関車を中心とする国鉄線や路面電車の姿。上杉尚祺・茂樹兄弟が全国を駆け回り、モノクロ―ムにこだわって撮影した貴重な未公開8㎜フィルムを発掘し、地域別に再構成して紹介する。(昭和43年〜昭和50年撮影)
七尾線 明知線 二俣線 東海道本線豊橋駅
C56123は七尾線を舞台に撮影された映画「父ちゃんのポーが聞える」に出演した機関車。明知線ではC12形が活躍。二俣線では昭和46年3月31日にC58200牽引のさよなら列車が運転された。東海道本線でも豊橋駅構内では入換え作業にC50形が従事。
関西本線
貨物輸送に多数のD51形が活躍していた全線非電化の関西本線。昭和45年10月には、臨時列車やイベント列車が、D51形、C57形、C11形、8620形との重連で運転された。
東海道本線 梅小路機関区
昭和45年10月〜11月、団体列車「蒸機の旅1970」が、大阪―丹後山田間で運転され、牽引機C575は京都駅で別の機関車に交代すると、梅小路機関区(現・京都鉄道博物館)に引き上げる。
山陰本線
嵯峨―馬堀間の複線電化工事により廃線となった旧線。旅客列車がC57形、貨物列車はD51形が牽引して保津峡駅付近を走行する。
※一部同時録音
福知山機関区 宮津線
山陰本線・福知山線・舞鶴線の貨物輸送を担ったD51形が配置される。C11形が、傍らで貨車の入換えに従事。宮津線の由良川橋梁を渡るC58形は、西舞鶴機関区の配置。
豊岡機関区和田山支区
明治45年建築のレンガ造りの車庫がある構内には、DD54形とともに、豊岡機関区配置の多数のC57形の姿が。和田山駅構内では貨車の入換え作業も行う。
播但線
生野越えの難所を控えるこの路線では、貨物列車もC57形が牽引。DD54形を前補機に付けた重連運転も行われた。
※一部同時録音
この作品は、かつて撮影された8ミリフィルム映像を編集したものです。一部、当時の撮影環境に起因する見づらい場面、フィルムのキズや経年化による退色・変色が発生している場面などがありますが、いずれもたいへん貴重な映像ですので、そのまま使用しています。ご了承ください。
撮影・監修:上杉尚祺・上杉茂樹
構成・演出:宮地正幸
【上杉尚祺氏 略歴】
京都市在住。昭和15(1940)年生まれ。昭和43年、電化完成直前の東北本線・奥中山の三重連を皮切りに列車の撮影を開始。東映京都テレビプロダクションに入り、助監督としてキャリアを重ねながら、蒸気機関車の撮影を続ける。後に映画監督となり「三匹が斬る!」「水戸黄門」など数々の作品を発表し、現在も太秦の東映京都撮影所で「土曜ワイド劇場」などの監督として活躍中の現役映画人。
【上杉茂樹氏 略歴】
川崎市在住。昭和24(1949)年生まれ。尚祺氏を筆頭とする5人兄弟の末弟で四男。18歳の時、尚祺氏に誘われて蒸気機関車の撮影に同行したのをきっかけに、蒸気機関車と撮影の魅力に取り付かれる。アルバイトで蓄えた貯金で撮影のために中古車を購入し、以来全国各地への大撮影旅行を繰り返した。現在はプロフォトグラファーとして活躍中。
制作:株式会社動輪堂