よみがえる総天然色の列車たち第2章(16)
奈良電気鉄道出身の小型車・中型車も活躍する京都線・奈良線・橿原線・田原本線・生駒線、貨物列車の運用が残る南大阪線・吉野線を中心に紹介。また鮮魚列車のほか、大阪線に残る電気機関車や、有蓋電動貨車・無蓋電動貨・荷物電車の姿が鮮やかによみがえる。(昭和37年〜昭和58年撮影)
680系・18000系・18200系・18400系 京都線・奈良線・橿原線Ⅰ
奈良電気鉄道出身の680系と吊り掛け式の18000系が京奈・京橿特急に、18200系と18400系「ミニスナックカー」が京伊特急に活躍する。
600系・800系・8000系
車両限界拡大前の橿原線では、大阪電気軌道や奈良電気鉄道時代の小型車などを出自とする600系が現役。一方、奈良線では新生駒トンネル開通の昭和39年にデビューした8000系や、ラインデリア車8400系など大型高性能通勤車が料金不要特急などで主役を務める。京都線では高の原駅が仮駅で開業。京都―橿原神宮前間の急行には、セミモノコック構造・軽量車体の高性能車800系や820系が従事する。
田原本線・生駒線・東信貴鋼索線
橿原線の車両限界拡大工事が終わると、600系の運用は田原本線に。400系を中心に運転される生駒線・信貴山下駅では、今はなき東信貴鋼索線が接続する。
南大阪線・道明寺線・吉野線
特急用の16000系のほか、6800系・6000系「ラビットカー」や、6020系など通勤形高性能車の増備が進む。一方、南大阪線の前身・大阪鉄道時代からの6601系など旧型車も多数が現役で活躍。また、養老線とともに最後となった近鉄の貨物輸送をデ51形・デ61形が支える。
京都線・奈良線・橿原線Ⅱ
橿原線には900系など大型通勤車のほか、特急に10100系・11400系・12200系などが入線するが、800系など中型車も健在。
電気機関車・電動貨車
スイス製で吉野鉄道出身のデ35形を名張検車区で撮影。配給列車に使用される有蓋電動貨車モワ80形や、電車を回送するモト90形・モト75形など無蓋電動貨車の活躍も記録する。
荷物電車
それまで荷物電車として使用されていたモ1400形・ク1500形は、有蓋電動貨車モワ80形の引退に伴い、専用のモワ10形・クワ50形に改造。奈良電気鉄道出身の683系モ683もク1320形1322となり荷物電車として運用。
鮮魚列車
近鉄独特の魚介類専用の荷物列車に、モワ10形・クワ50形やク1320形1322などが従事。後年、2250系などから改造された600系(2代)に交代する。
680系 その後
京奈・京橿特急の運用を終えた680系が名古屋線に移籍し、団体専用列車運用に就役。
志摩線
680系はさらに一般車に格下げ。全線単線時代の志摩線に安住の地を得てローカル運用で余生を送る。
主な収録車両
680系/683系/18000系/18200系/18400系「ミニスナックカー」/600系/800系/820系/8000系/8400系/400系/コ9形/6020系/ク6511形/6601系/モ5211形/16000系/デ51形/6800系「ラビットカー」/デ61形/6000系「ラビットカー」/8600系/900系/920系/デ35形/モワ80形/モト90形/モト75形/モワ10形・クワ50形/600系(2代)/モワ10形(2代)・クワ50形(2代)/30000系「ビスタカーⅢ世」
ナレーター : 羽川英樹
撮影・監修 : 奥井宗夫
監修 : 山邊誠
構成・演出 : 宮地正幸
【奥井宗夫氏 略歴】
三重県松阪市在住。昭和11(1936)年生まれ。23歳で8ミリカメラを手にして以来、鉄道車両を追って日本各地を行脚。青果業を営むかたわら、四半世紀以上にわたって撮り集めたカラーフィルムは約280本にもおよぶ。松阪レールクラブ会員。
制作:株式会社 動輪堂